Les Essais d'Unevertu

2011年3月26日

東日本大震災チャリティーライブセッション@Lucifer in 宇都宮

Filed under: Essay,音楽 — Vertu @ 10:18 午後
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3月24日(木)、宇都宮市中央にあるバー「ルシファー」で、「東日本大震災チャリティーライブセッション」が開催されました。マスターの佐々木均さん、同店で定期的に演奏しているプロのジャズ・ドラマー高橋幹夫さん、同じくジャズ・ピアニストの古磯勝子さんの呼び掛けによるものです。当日は来客のライブチャージ料を無料にして、その分を募金にまわしてもらいました。ライブ演奏の開始に先立ち、店内にいる全員で被災により亡くなられた方々に黙祷を捧げました。

震災当日、ルシファーさんの店内では棚のお酒が一本残らず床に落ちて割れてしまったそうです。グラス類もかなりの数が割れてしまいました。マスターはじめお店の方々は、地震後にはじめて店内に足を踏み入れた瞬間、言葉を失ってしまったそうです。

お店で用意してくださった募金箱です。

マスターの佐々木さんによる冒頭のあいさつとライブセッションの趣旨説明です。被災者の方々の困難に思いを寄せながら、私たちが日常の生活を取り戻し、毎日をしっかりと生きる中で支援を続ける決意を一人一人が確認させていただきました。

ピアニストのかつこさんによるチャリティー・オークションについての説明です。陶芸作品をはじめとして、今回の催しに賛同してくださった様々なジャンルで活躍されている方から、オークション品が寄せられました。

ドラマーのみきおさんが、この時期にあえてライブセッションを敢行する決意について語りました。ジョージ・ハリスンらによるバングラデシュ・コンサートを引き合いに出すまでもなく、ミュージシャンには困難を抱える人々に向けて音楽を通じて支援を行ってきた歴史があります。音はミュージシャンにとって言葉やメッセージそのものです。そして人間による創作活動には、心という感じ取ることしかできないけれど、重要なファクターが不可欠なように思われます。音を心のこもったメッセージとしてこの場にいる全員の心で共感し合い、共有し合いながら、被災地にほんのわずかでも役に立つことができれば、それは決して無意味なことではないように思います。

オープニングはルシファーの定番、みきおさんのトリオによる演奏です。ピアノの林英之さん、ベースの益子丈さんとの息のあった演奏に、拍手や声援が飛び交いました。みきおさんは12年間滞在したニューヨークでカウント・ベイシー楽団のドラマー、ジョー・ジョーンズの子息であるジョー・ジョーンズJr氏に師事し、数々の著名なジャズプレイヤーとの共演を重ねてこられました。ジャズの本場で培われたタイトでシャープなドラミングに魅了されました。

縦長のルシファーの店内は座りきれずに立ち見の人も含めて、身動きするスペースもないほどの満員状態。とても盛り上がりました。

Hacchi が Bette Midler の “The Rose” を渾身の熱唱。伝わってきます。じーんときました。

テナーサックス奏者の佐藤さん with friends によるマンボの演奏に、皆さんノリノリです。

尺八奏者の福田邦智さんによる独奏です。福田さんの師匠、人間国宝の山本邦山さんの、現代音楽にも通じるような美しくも複雑な起伏をもった難しい曲を見事に演奏しきってくださいました。福田さんに関連する以前の記事につきましては、酒蔵朗読会@万延元年創業・若駒酒造をご参照ください。

みーなさんは吉田美奈子さんの“Liberty”を熱唱。透明感のある美しい声の持ち主です。すてきでした。

ルシファーのバーテンダー、うっちー(ブラックモア)のバンドが、ファンクっぽい日本語ヒップホップの曲を演奏してくれました。出だしだけ聴いたら、「おっ、ミーターズか!?」と勘違いしたくらいファンクな感じです。

宇都宮を代表するジャズボーカリスト、橋本珠莉さんとマスター佐々木さんのツーショットです。演奏はピアニストの渡辺真理さんとのユニット、「ジュリマリ」プレゼンツです。じゅりさんの歌を久しぶりに聴けて幸せでした。

演奏が一休みとなり、募金とチャリティー・オークションの時間になりました。ミュージシャンの方々の愛用品が次々とオークションにかけられました。私はみきおさんがUFOキャッチャー(!)でゲットした腕時計を娘のために落札しました。みきおさん由来品ということで価値が出るかも???

実はプロの編みぐるみ作家でもある Hacchi のお手製の編みぐるみもオークションにかけられました。写真の作品は「イモリくん」です。イモリは漢字で書くと「井守」。人間の生活にとって大切な「井戸」を守るという意味に由来しているという説や、井は田んぼのことで、水田に生息するから「田」を守るという意味に由来しているという説があるそうです。また、イモリの再生能力は脊椎動物の中で最強クラス。手足やしっぽが切れても、ちゃんと骨まで含めて再生されます。トカゲのしっぽは切れても骨までは生え変わらないのです。そんな強くて愛らしい動物、「イモリくん」に、Hacchi の被災地復興への願いが込められています。

Hacchi のもう一つの作品、「カエルくん」です。宇都宮には特産の大谷石を加工して作ったカエルの像の工芸品、「無事かえる」があることで知られています。一人でも多くの方がご家族の元に無事に帰られるように、との願いが込められています。東北地方から離れた場所にいる私たちには祈ることしかできませんが、今はただ、音楽を楽しんでいるときも、仕事をしているときも、被災された方のご無事とご健康、そしてお亡くなりになられた方の安らかであられることを祈りながら、自分たちにできることを少しずつ続けていきたい。そんな気持ちをLuciferの仲間たちとともに語り合いました。

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